時評 (平成17年8月24日−10月11日)



 8月24日(水)、目下のTOB問題につき纏まった文章があるのでそれを引用させて頂きます。
《アパレル大手のワールドに続いてポッカコーポレーションが経営陣による自社買収(MBO)で株式の非公開化を決めたことで、今後さらに活発化が予想される敵対的M&A(企業の合併・買収)に対する究極の防衛策として、上場廃止を目指す企業が増えるとの見方が広がっている。
 ワールドがMBO実施を発表した翌日の先月二十六日、同社が上場する東京証券取引所の鶴島琢夫社長は「資金調達や社会的信用など上場のメリットがあるからこそ企業は株式を上場する。(ワールドのような動きは)大きな流れにならないだろう」との考えを示した。しかし、ポッカが上場廃止を決定したことで、予想は早くも裏切られた格好となった。
 株式の非公開化の狙いについて両社は、短期的な業績に左右されない長期的戦略の展開や機動的な意思決定などを挙げているが、上場廃止が敵対的買収への究極の防衛策となるのは確かだ。
 とくに来春に予定されている会社法の施行から一年後には、外国企業が株式交換によって国内企業を買収することが事実上解禁される。時価総額が割安な日本企業は、格好の買収ターゲットとなる可能性が指摘されている。
 新光証券の瀬川剛ストラテジストは「ほとんどの国内企業、とくに薬品や食品、日用品メーカーは巨大な欧米企業に比べて時価総額の差は大きく、株式交換で容易に買収されてしまう」と指摘。
 また、国内企業による買収の可能性もあり、「時価総額の低い上場企業の経営者は、いつなんどき買収者が名乗りをあげるか分からず、焦っている」状態という。
 一方で、「M&Aコンサルティング」(通称・村上ファンド)を率いる村上世彰氏は「株を上場するというのは、だれでも自由に株を売買できるということ。ある意味でワールドの決定は大英断」と語り、買収回避のために上場廃止を決めたことを評価する。》
 最後の村上氏の言葉に筆者は賛成致し兼ねます、亀の様に首を引っ込めたり蛸壺に入って出て来ないままで企業が存続し得るものでしょうか。 最初の買収は遣り過ごせたとしても日本経済全体が外資のコントロール下に置かれ、主要銀行が外国金融機関になれば結果は同じであり、単独上場廃止の追随続出は寧ろ金融危機を早める恐れがあるのです。

 9月2日(金)、ハリケーン「カトリーナ」の被害が集中し市街8割が水没したたジャズの聖地ニューオーリーンズでは、疫病蔓延・略奪と暴動・犯罪や騒乱に対し軍が治安出動(しかも射殺命令まで出された)を余儀無くされるほど無政府状態化しております。 市の人口46万人の内3分の2が黒人であり貧困率は全米の2倍というデータがあり、車は愚か電話・テレビの無い家庭が珍しくない地域の住民が逃げ遅れて死者数千人を計上する惨事を招くのは時間の問題だった訳です。
 またアラバマ・ミシシッピ・ルイジアナと言えば、フォークナーの小説でも御馴染みの「深南部」であり南北戦争の負け組でありました。 「サンベルト」と持て囃された一時期に於ても結局は北部資本の経済植民地に変わりはなく、NYの企業トラスト→地場のボス→貧乏白人/混血/黒人へと続く支配構造は現在まで揺らぐ兆しがありません。(敗戦の結果黒人と白人の融和的関係は壊れ逆に人種間の離反・憎悪を齎した)
 そこへ襲来した今回のハリケーンは彼ら貧困層により多大なる打撃を与え、人災としての要因も少なからぬカタストロフィに自暴自棄となって銃撃乱射・弱肉強食に突き進む事態を予想は出来ても、防ぎ得る手段は今の所イラクのテロと同様に至難の業と言う以外無いでしょう。
 改めて戦争や震災時における日本人の民度の高さ、その人類の例外たる自律的秩序維持能力に世界が驚愕した由縁を我々は自覚し誇りに思うのであります。

 9月12日(月)、小泉圧勝の選挙特番でTBSの久米・筑紫・姜、テレ朝の古舘ら反日キャスター連のヒステリックな反応が生中継されたのを御覧になられたかと思います。 自民に投票した有権者を衆愚と決め付ける思い上がり、小泉人気→大政翼賛→独裁のデマゴギーで国民を脅す被害妄想などが炸裂していたではありませんか。
 朝日・毎日・日経・中日が系列テレビ局を総動員して岡田民主党と連携する選挙介入を行なった挙句の惨敗であるからには、自分等の言いなりにならなかった国民への恨み・憎しみが増幅して何ら不思議では無く、朝刊社説にその正気とも思えぬ錯乱振りが表れており、これは永久保存版となるでしょう。
 民主党のフレーズ「日本をあきらめない」とか「賢明なる選択を信じています」、その真ん中で岡田克也が鬼畜の様な顔と目で有権者を睨んでいる悲惨なポスターを、事前にチェック出来る賢明な民主党ブレーンはいなかったのでしょうか。 初手(はな)から日本をネガティブに貶める態度、民主に投票しないのは頭が悪いかの如き物言い、強迫神経症の典型例を写した顔写真を押し付けられて誰が投票する気になるだろうか、それに思い至らなかった時点で民主の敗北は決定していたのであります。 
 世界一賢明な国民を汚い小芝居ーーー「日本が滅茶滅茶になる!」「もう時間がないんです!」「日本はもう駄目なんだ!」「ですから政権を取らせて下さい!」の絶叫(お前はノストラダムスか)ーーーで騙そうとした岡田の民主党は滅びました、それは国民が日本をあきらめていなかった最善の証拠だと言えます。

 9月13日(火)、自民党圧勝の原因の一つに、野党が郵政民営化の小泉ペースに乗せられるまいとして、近隣外交とか憲法9条問題を論じ始めた戦略的失敗が挙げられます。 曰く、小泉自民党がアメリカ一辺倒なのに対しわが党は北京や南北朝鮮との友好に重きを置く、アジア諸国への公約である憲法9条を遵守する等と搦手から攻める戦法の積りか、選挙期間中に得意のイデオロギーを展開して行った(マスコミもその広報役を大々的に買って出た)、これが大きな過ちだったのです。
 イデオロギー野党と言えば、災害時(阪神大震災)の反自衛隊主義や外交上での禍根(反日アジア3国への土下座謝罪)で、取り返しのつかない惨事を招いた村山富市時代の記憶が国民に甦るのは避けられず、完全なマイナス効果を生じさせる事に気付かない無神経さは唖然となります。 二度と野党に安全保障と外交は任せられない、とあの時国民は骨身に沁みて教わったのですから。 郵政問題に限り野党が対案を出す発言の場を与えても良い、この国民の総意を見極めるべきでした。
 日本国民はアメリカに対し愛憎入り混じる心境にあり、小泉首相とその郵政民営化の手法へもアンビバレントな感情を抱いておりますが、日米両政府を全面支持でなくともそれは相対悪として矯正可能だと見る一方、北京や南北朝鮮は絶対悪であり無条件で排斥せねばならないと考えているのです。 つまり相対悪によって絶対悪を押さえ込むのが当面の課題と読んで自民党に票が集まった経緯は見逃せない要因なのです。

 9月15日(木)、衆院議席数の大勢が決するのと時を同じくして野党やマスコミの口から出て来たのはーーー「この選挙結果は必ずしも小泉首相のあらゆる政策を白紙委任したものではない」ーーーまるで示し合わせた様に声を揃えて必死の遠吠えで釘を刺そうとしておりますが、恥知らずにも程があると申せましょう。 
 与党側が郵政一本に絞って信任を問いかけていた課題にまともな対案も提出できず、争点を逸らす意図からか「政権交替・新しい政府」とか「アジア優先」「年金」「増税」など持ちネタをフルに注ぎ込んだーーー言わば首相側がお情けでレートを低く設定してあげたにも関わらず、財産を質に入れてまで工面した賭け金を次々に上乗せし、無謀な総力戦に持ち込もうとして惨敗を喫したのは岡田民主党の自業自得なのです。
 それらの政策について白紙委任状を出していないと言い張るのは、賭けで負けておいて「駒を取り合う約束をした覚えは無い」とゴネるも同然、その場で一刀両断にされてもおかしくない卑怯者の振る舞いであります。 国民が民主党の(マニフェストに隠れた)潜在的内外政策全てにNO!を宣告し終えた現実を受け入れねばなりません。
 既に与党閣僚は年金問題に関する民主党の「何もかも統合」案を受けて立ち、(国民年金を除く)厚生年金と共済年金を先ず統合するプランを打ち出しております。 公務員が過分の給付を受けて来た共済年金を統合することで官と民の不平等格差を是正し、併せて民主党の票田である自治体労組の既得権を剥奪する一挙両得が見込まれます。 年金統合を最初に口にしたのは他ならぬ民主党でありますから、公労協や自治労に突き上げられて反対を唱えた所でそれを自民党に指摘されればグゥの音も出ますまい。

 9月16日(金)、今日の「中日夕刊」に珍しく中庸を弁えた論評が載っております。 小泉首相を大勝させた国民は決して愚かではなく、政策はそれを手掛ける政治家の力量次第で成否が左右されることを有権者としてよく解っているのだ、マスメディアは小泉劇場を理屈で批判しながらルーキー候補者の追っかけで視聴率を稼ごうとして結果的に小泉劇場をサポートした、そういった趣旨でこの高瀬淳一名古屋外大院教授は、外でもないジャスコ岡田の広報係だった中日新聞に寄稿しておられるのです。
 図らずも筆者が8月8日に記した(挑戦者 # 19 時評)政治におけるダイナミズムの復権論に賛同を得たようで心強い思いが致します。 高瀬教授が言われる通り、政治とは「まつりごと」であり、メイクドラマを盛り上げる事なのです。 その座長・興業主としての才能を持たない者は、如何に立派な政策を立案し根回しに長けていようとも、今度の選挙の様な国民的祝祭を演出することは出来ないのであります。
 行政事務手続きをやる仕事ならば官僚たちに委せればいい、しかしそれを政治とは呼ばないーーー候補者同士の政治生命を賭けた追い落とし合戦、有権者全員を巻き込んだ盛大な喧嘩祭りこそが政治である宿命を、9月の選挙は改めて満天下に知ら令めた訳です。 地縁や利権の柵らみを解体して政治構造を一新させる、これは首相が演説で述べていた通り本来なら野党が率先して実行すべき役柄なのに支持基盤たる労組に縛られて動きも取れぬまま、全部「小泉党」に掻っ攫われてしまいました。 選挙民は確かに稀代の興業主である首相に踊らされたと言えるかも知れませんが、同じ程度に自ら踊りを振り付け進んで舞い踊ったのは紛れも無い真実です。
 序でながら、北京の幹部閣僚は選挙前から頻りに日本の政権交代が両国関係に有益であるなどと囀って民主への投票を促しておりました。 ブッシュ大統領2選に際して小泉首相がエールを送った位で「内政干渉ではないか」と難癖をつけた割には自国が干渉を受ける場合の脳天気振りを岡田とそのブレーンが晒け出す一方、胡錦濤一家全員で日本政変への関心を露わに示す尋常ならざる隣国の恐喝は、従来から反小泉派議員だけを中南海に呼びつけていたその延長線上にある破壊工作です。 自民の勝利をより確かなものにした意味でそれは完璧な(民主党への)選挙妨害であり、反日独裁国家の独裁政党から応援を受けるのは最大限不利益だという正常な政治感覚が民主党にあれば、抗議するか更には名誉毀損で訴えたことでありましょうが、悲しい哉、愚か極まる党執行部は支那の御託宣を押し戴いて恭しくも壇上に供え奉ったのでした。 その結果は余りにも予想通りなのが哀れを誘い、笑う気にもなりません。

 9月21日(水)、「ポッカコーポレーション(監理ポスト)」は先月末から自社株TOBで株式の非公開化を実行に移しておりましたが、今日21日、役員出資の持ち株会社「アドバンテッジHD」がTOBにより70%近いポッカ株取得に成功したと発表(総額170億以上)、「アドバンテッジHD」はポッカを完全子会社し11月中にも整理ポスト→上場廃止のプロセスを果たせる見通しです。 
 郵政民営化で市場に資金が放たれるプラス材料の先取りで株価急騰の最なかに、敢えて市場からの撤退を決断した「ポッカ」や「ワールド」の企業戦略は吉凶何れの成果を生むでしょうか。 M&Aの村上氏からは、会社法改正で解禁される株式交換買収で外資が日本企業の小会社化を活発に仕掛けてくると判断し、自社防衛のためには出血を伴う外科手術も辞すべきではない、その意味で市場撤退は企業経営者の大英断だとお褒めの言葉を頂いております。
 そのアドバンテッジHD自体が多国籍投資ファンド「アドバンテッジパートナー(AP)」の小会社である事実を村上氏はどう位置づけるのか、株式公開での資金調達よりAPの資金力導入の方を選んだポッカ経営陣は自ら外資傘下に降ったのではないのか、など経営陣が抑も市場に抱いた不信の理由を明らかにする事が先決の様に思われます。
 上位株主のネッスルや大塚ベバレジがTOBに応じた礼を謝しつつ、主要銀行のUFJや三菱東京も賛同する体質強化・事業改革は、株式の非公開化という非常手段によって達成できると経営陣は考えております。 竹中工務店や富士XEROX・サントリー・森ビルなど非上場の一流企業に轡を並べんとする意志表明とも受取れます。 ただ非公開にした所で株式取得による会社買収は法的には全く可能なのであり、寧ろ密室での経営権移動が起こり得る犯罪紛いの定款書換え・証券贈与・名義委託・抵当設定などを招来させる危険性を覚悟して置かねばなりません。
 また「ワールド」式自社買収MBOは(会社資産を担保に)銀行から借り入れて持ち株会社に出資するパターンが殆んどであり、MBO後の金利負担・返済に充てる収益を確保出来なければ企業自体の存続に関わって来ます。
 唯一つ言えるのは、自社株が値を上げ下げする市場の動きを考慮しなくなった企業は自家中毒に陥る、それが市場体質に一度順応した企業の課題だという事実です。

 9月22日(木)、先月24日に少し触れましたが、MBOが続出すれば金融危機を招くという構図が、昨日の記事から読者の頭に自づと浮かんで来られたと思います。 企業が自社株を買い占める目的のみを以て次々会社資産を担保にMBO資金を借り入れるドミノ倒しが基点となり、何の利益も生まぬ(設備投資や事業拡大目的の融資ですらない)不良担保債権がバブルを上回る規模で金融市場に溢れ返る事態を招くのは火を見るより明らかです。 
 デフレが収束する過程で金利は上昇し当然株価も高騰する、その時節に己れが発行した株券を身を削って百億単位で買い付けるとは、まさに途方も無き浪費・この上無き道楽に思えるのは筆者だけでしょうか。 企業を防衛したい一心から上場廃止に踏み切る、そのため何もかも抵当に入れるーーー既に銀行側は外資の弟子として債権処理と解体・叩き売りを即決するピラニアに体質変換済みでバブル期のような馴れ合いは望むべくもなしーーーそれは余りにも早まった自殺行為としか申上げられません。
 有価証券は一般投資家に買われる事で初めて価値を生むのであって、MBOなどは単なる古紙の回収作業に過ぎない、にも関わらず日本の(という言い方は嫌いなのですがこの場合敢えて使わせて頂くならば)企業経営者は株式市場を信頼するより銀行を頼りにローン金利をせっせと払込む方を未だ優先させようとしております。 
 確かに株価の変動は金利のそれに比べ遙かに上下乖離率が大きく不安だ、郵政民営化の余剰資金が株式市場に流れ込む期待で高値更新が続いているのも飽くまで観測の域を出ないバブル的画餅だ、と言われても仕方ないのですが、株価こそ多くの近代企業をかくも息長く存続させ得た生命力の源であり、株主を物言いばかり付ける厄介なクレーマーの如く認識するのは本末転倒であると深く省みて頂きたいのであります。

 9月28日(水)、愛知万博終了後も万博ヨイショの自画自賛を続ける中日新聞は見ていて少し痛いです。 確かにオリンピックを逃した悔しさを今度の万博開催にぶつけた愛知人の意気込みはよく理解出来るのですが、それ以上に「漸く尾張名古屋が世界に認知された」様子を披露したくて堪らない、大都会と自称していながら世界的には「F1の鈴鹿」より知名度が低かった憤懣をこれで幾らか解消出来たらしいのです。 
 大阪万博の二番煎じに成功してそこまで舞い上がるのも情けないなら(オリンピック誘致は大阪も失敗してはいますが温度差が低く大して府民は打撃を実感せず)、岡田民主党と中日ドラドンズのダブル敗退を万博成功の強調で埋め合わせ、未来永劫に亘って鬱憤を晴らそうとする粘着とコンプレックスも余り褒められません。 この新聞の行き着く先は常に「偉大なる首領様」TOYOTAの全体主義を讃える人民共和国さながら気味の悪い御用機関紙なのです。

 10月4日(火)、7月14日の『時評』でも触れましたが、昨日3日より郵便局は投資信託の販売業務を開始致しました。郵政公社総裁の生田正治氏はその発売式典で、元本割れリスクのある商品を始めて取り扱う局員の意識変革と法的コンプライアンスについて、自戒と意気込みを併せながら語っておられます。 
 確かに、これまで平和を絵に描いた様な職場で、郵便物の受け渡しや郵貯と簡保の出納記帳(主な顧客はお年寄り)を専らとする、謂わば公務員の中でも群を抜いて牧歌的な職務に慣れ切っていた局員が、徐々にではありながら体を張って金銭を遣り取りする鉄火場の雰囲気に適応せねばならない、これまでと異なった客層相手のシノギーーー罵声も飛び交い電話は鳴りっ放しーーー殺伐とした職場環境に果たして耐えられるかどうか、或いは適応し過ぎて社会的モラルを見失うのが逆に心配されます。
 職員のノイローゼ罹患を防ぐためにも、一度地場の証券会社で研修させる期間を設けても良かったのではないかと、手数料収入を得るのが如何に大変かを体で覚えさせる必要があっただろうと筆者は考えます。
 また取り扱う現金の量と流通経路が増えれば、それをガードするセキュリティ面での対応策も増設されなければいけません、つまり強盗事件が今後はかなりの件数を数えると予想されるので、それに対する局員の精神的ストレスをカバーする福利厚生処方が求められる訳です。

 10月5日(水)、郵便局初売りの投資信託はリンク先にある通り、「野村世界6資産分散投信(安定・分配・成長の3コース有り)」「大和ストックインデックス225ファンド」「ゴールドマンサックス日本株式インデックスプラス」の3企業(5銘柄)から販売代理を請け負う(運用は全面委託の)形でスタートする模様です。 
 担当窓口の郵便局員が、既にこれら商品について購入希望者の相談や質問に対する説明資格を充分に修めているかが問題になります。 証券会社が出している資料を棒読みするだけ、或いは詳しい説明を証券ホットラインに任せるだけでは事業として見込みが薄いと言わざるを得ないでしょう。
 6年前になりますが、簡保資金を運用する担当者は70名ほどであると、国会で前郵政省簡易保険局長が答弁しておりました、恐らく現在もその数は急激に増えてはおりますまい。 120兆円に上る簡保資金運用を僅か70人で賄うのは民間の投資感覚からすれば不可能の一言で撥ね付けられます。 証券会社が組んだ1兆円ファンドでさえ100人以上のマネージャーをディーラー室に張り付きで運用しているのを人件費の無駄遣いとは誰も申しません。 畢竟、郵政というものが如何に国家の手で二重三重に保護され、自らリスクを引き受ける必要が無いーーーリスクの存在自体を認識しないーーー膨大な預かり金額をただ眺めているだけの旦那感覚で取り扱う制度に他ならなかった証左であります。
 民営化が目前に迫った今日においてそれでは国民資産に危険が及ぶのを避けられません。 自ら株式を公開して各部門が独立上場する立場になるからには、企業防衛としての積極的な投資戦略・対外攻勢に打って出られる(デリバティブも使いこなせる)スキル及び人的資源を、民間企業としての郵便社には身に着けて頂きたいのです。 
 つまり証券会社委託の販売代理業などでお茶を濁さず、郵貯簡保の合計残高350兆円を基金に100%オリジナルな、全証券会社を飲み込むぐらいの怪物的ポートフォリオを立ち上げるか、(ジョージソロス張りに)一国の通貨を徹底的に売り浴びせて危機に追い込み天文学的数値の利益を掻っ攫うような激震型の企業ユニットに成長した郵便局が見たいのであり、それは不可能ではないと筆者は考えております。 これがシオニスト系のハゲタカファンドなら、郵政民営化で打撃を受ける業界(宅配便やコンビニを含む)の銘柄だけを集めた空売り専門のジャンク投信を設定してばら撒き、生き馬の目を抜く芸当を簡単にやってのけるでありましょう。

 10月11日(火)、郵便局はそれ自体スーパーパワーを備えた金融複合体に成長する素質があると筆者は考えております。 その圧倒的な資金量のみならず、個人情報のストックが国勢調査の比ではないアドバンテージを生かさずに置くのは宝の持ち腐れと言えるからです。 
 納税や年金の督促・証券会社の追加証拠金請求・内容証明付債務支払要求・裁判所の呼出通知など、サラ金業者でさえ垂涎の的の顧客情報や肉親間の送金(現金贈与)・不法入国者の為替収受などは郵便局の通信データに容易に記録し得て、尚且つ行方不明(表向き)家族の住居を突き止めるに十二分の証拠を齎してくれるのです。
 これ等の情報を個人別に系統化し終えた暁には、資金量も回収能力も消費者金融を圧倒的に上回る優良(個人向け)ローン/信販会社が誕生し、既に個人ローンから実質撤退した銀行を不法にも肩代りしているサラ金業者を社会より駆逐淘汰出来る事は間違いありません。
 仮に借金が焦げ付いた一家が夜逃げした所で、郵便交信歴及び簡保の受取名義人を洗えば凡その居場所は特定可能であり、犯罪の徴候が現れた場合は直ぐ様データを警察当局に預け、地下に潜伏している過激派テロリスト・指名手配犯・北の破壊工作員割出しの一助となる筈です。







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